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時効の援用とは

時効の援用とは、時効の完成によって利益を受ける者が、時効が成立したと意思表示することをいいます。

時効による権利の取得・消滅というのは、一定の事実状態が一定期間継続しただけでは、確定的に効果が生じません。

例えば、時効が完成したことを知っていても、時効の利益を受けることをいさぎよしとせず、支払いしたいという人も、いるかもしれません。
そこで、時効の利益を受けるかどうかは、時効援用権として、援用権者の自由選択に任せられているのです。
したがって、何もせず黙っていても、時効の利益は受けられません。
時効の完成によって利益を受ける者が、「時効の援用」をすることで、初めて効果が生じるのです。

なお、要件を満たしているのであれば、相手の了承や合意は必要なく、一方的な援用の意思表示のみで、時効の効果は発生します。

時効の利益の放棄

時効の利益(時効援用権)は、時効完成前に予め放棄することが、できません。
これは、弱い立場にある債務者が、窮状に乗じて無理にそういう約束をさせられることを防ぐためです。
したがって、時効完成前に「時効の援用はしない」「時効期間の延長する」と約束しても、「無効」となります。