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分割払いの時効の起算点

まず、大前提として、総額が確定している債務の分割弁済を定める場合、期限を怠った日の翌日から消滅時効の進行が開始します。

初回の弁済期から全く支払っていない場合には20年、途中で分割金の弁済を怠った場合には10年間で時効となります。

民法第168条
(定期金債権の消滅時効)
定期金の債権は、第1回の弁済期から20年間行使しないときは、消滅する。最後の弁済期から10年間行使しないときも、同様とする。
 2項定期金の債権者は、時効の中断の証拠を得るため、いつでも、その債務者に対して承認書の交付を求めることができる。

分割払いの取り決めにおいて、「期限の利益喪失約款」を定めていない場合には、各回の分割金が、個別に、不履行した日の翌日から消滅時効の進行を開始することになります。

「期限の利益喪失約款」を定めている場合には、期限の利益喪失をした日の翌日より、喪失した日の翌日から残債務全額について消滅時効の進行が開始するという「即時進行説」と、不履行後に一括請求した時点ではじめて残債務全額の進行が開始するという「債権者意思説」とがあり、判例上は、後記の「債権者意思説」が支持されています。


最高裁 昭和42年6月23日 判決
「割賦金弁済契約において、債務者が割賦払いの約定に違反して割賦金を支払わなかったときは直ちに残額全部を弁済すべき約定が存在する場合でも、各割賦金額につき約定弁済期の到来毎に順次消滅時効が進行するものであり、債権者が特に残債務全額の弁済を求める意思表示を債務者に対してなした場合に限り、その時から残額全部について消滅時効が進行開始する」