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旧育英会(日本学生支援機構)の奨学金の消滅時効

旧「育英会」の奨学金の請求に対する時効援用

日本育英会とは、経済的に恵まれない学生・生徒に、学資を補助して勉学を助けるために設けられた特殊法人であり、平成16年4月に廃止され、現在、独立行政法人日本学生支援機構が事業を承継しております。

そして、その支援の9割が「貸付」の形となっておりますが、この「日本学生支援機構」は、日本育英会の時代の未回収債権を大量に抱えており、その債権回収に力をいれているのですが、実は、その大半について、すでに消滅時効が完成しているのです。

※独立行政法人とは、国が主体となって行う事業のうち一定のものについて、法令の定めによって事業を行う公的な性格の法人です。
この奨学金という貸付行為の性質は「商行為」では無いため、時効期間は10年であると考えられています。
また、「期限の利益喪失」という約款の無い場合が大半であるため、各回の分割払金が、それぞれの弁済期日の翌日から個別に時効の進行をすることが通常の取り扱いとなっております。

また、奨学金の多くは、貸付時に2名以上の保証人を立てることを義務付けていることが多いのですが、2名の「連帯保証」では無く、単なる「保証」の場合も多いです。

そして、この「単純保証」の場合には、「連帯保証」や「連帯債務」とは違い、頭数で債務の負担割合を減らす「分別の利益」を主張出来ます。



学校に支払う授業料の消滅時効

学校に支払うべき授業料を滞納している場合、私立と公立で取り扱いが異なります。

私立の学校(小学校や中学高、高校、大学)の授業料については、塾や習い事の月謝と同じで、令和2年3月31日までに生じた債権であれば、納期から2年経過で時効完成となります(旧 民法第173条3)。

令和2年4月1日以降に生じた債権につきましては、債権者が権利を行使することができることを知った時から5年、権利を行使することができる時から10年(民法166条1項2号)となります。

公立の学校(国立や都道府県立、市立、区立など)の授業料や保育園・幼稚園の保育料については、公法上の債権となり、納期から一律で5年となります。

延納の手続きをしている場合には、その猶予を受けた弁済期が「納期(時効の起算点)」となります。